ひねもす通信Ⅱ

季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね

奥武蔵

野生のシュンランが見たくて高麗(こま)神社に来ました。埼玉県日高市。かつて朝鮮半島からの渡来人たちを入植させた土地です。高麗王が神様。はるばる海を越えてこの地に住むことになった人たちが、自分たちのご先祖様を神として祀り、ずっと守り続けてきた神社です。

f:id:notahiro:20170419091921j:plain ミツバツツジ

f:id:notahiro:20170419092155j:plain シャガ

f:id:notahiro:20170419092347j:plain ヤマエンゴサク

f:id:notahiro:20170419092523j:plain タチツボスミレ

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初めて見るヒゴスミレ。エイザンスミレ以上に細かく葉が裂けています。でもシュンランは見つかりません。遅かったのかもしれません。

次の目的地はユガテです。飯能市に入って東吾野駅から北へ、山の方に入っていきます。車を乗り捨てて山道を歩きます。

f:id:notahiro:20170419093357j:plain 菜の花

f:id:notahiro:20170419093227j:plain ノジスミレ

f:id:notahiro:20170419093505j:plain センボンヤリ

唐突に視界が広がります。畑と数軒の家。ユガテの集落です。湯天。これでユガテと読むようです。

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山の上の集落は桜満開。季節が戻ったようです。

f:id:notahiro:20170419094200j:plain ホトケノザ

f:id:notahiro:20170419094406j:plain シロバナタンポポ

f:id:notahiro:20170419094442j:plainヴィオラ・ソロリア

丈夫な外来のすみれは雑草と競って生きる…

車に戻って高山不動尊に向かいます。道は舗装ですが細い山道。路傍に咲く花。運転しながらでもすみれが群生しているのが分かります。

f:id:notahiro:20170419095226j:plain マルバスミレ

f:id:notahiro:20170406115805j:plain エイザンスミレ

雨になりました。高山不動尊に着く頃には本降りです。傘を差して境内へ向かいます。誰もいない境内に大きなイチョウの木。樹齢は7~800年。大小の気根がたくさん垂れ下がっています。 

f:id:notahiro:20170419103226j:plain 高山不動の大イチョウ

関八州展望台へ向かいます。雨は上がったものの関東平野を眺めることはできません。でも雨に洗われた新緑がとてもきれい。ヤマザクラも咲いています。

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稜線を越えて越生(おごせ)町に下りて行きます。飯能市高麗川流域から越辺(おっぺ)川流域へ。龍穏寺へ向かいます。目的のモミの巨木は立ち枯れています。樹齢500年。枯れてから何年か経っているのでしょうか。やや傾いた太い棒杭のようで…。結局写真は撮りませんでした。

f:id:notahiro:20170419110210j:plain 龍穏寺

夕方の雨上がりの人気のない境内。散り敷く桜の花びら…

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『ひねもす通信』を17年続けています。自分の撮った写真で記事を書いて、紙媒体で読んでもらっているのです。これは12年前のちょうど今頃(’05. 4.18.)の記事を再編集したものです。最後の写真1枚を大きく載せたので、ほかの写真は不採用となってしまいました。

今の季節の写真を10枚ずつ、テーマ毎にまとめてみました。ミニ写真展。写真歳時記ー季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね。

残雪の山々

新穂高温泉から双六小屋を目指します。

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北アルプス・双六岳

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鞍部に現れる双六小屋。背景は鷲羽岳。左奥に水晶岳

この年の雪は少なめ。それでも吹き溜まる湯俣側には大量の雪が残ります。

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双六小屋からの鷲羽岳

積雪は風の影響を強く受けます。

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ゴールデンウィークの双六岳山頂から残雪の山々を望む

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黒部五郎岳

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笠ヶ岳

双六頂上部に広がる台地はもう雪が消えています。

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穂高連峰

双六小屋はゴールデンウィークの営業を止めたようなので、この景色を見るのは難しくなってしまいました。また積雪は年ごとに大きく変わったりします。地域差もあるのでご注意を。

雪崩跡

何でこんななってるんだろう?

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大量の雪が降って不安定になり、以前までの積雪の上で滑るのが表層雪崩。樹林帯では雪崩は起こりにくいのですが、起こらないわけではありません。滑り面で幹が折れても何とか生き長らえるとこんな姿になります。まだ柔軟性のある幼木の頃のことだったでしょうか。

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雪は融けて木がなぎ倒されています。北アルプス南部の穴毛谷で、この年起きた雪崩の跡。

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デブリと呼ばれる雪崩跡。北アルプス・小池新道にて。

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長野県鳥甲山南面のデブリ。雑魚川林道にて。

厳冬の深い雪を漕いで山に登るのは大変です。春には雪が締まり、不安定な雪は崩れ落ちます。雪が安定すれば春山の季節。アイゼンを利かせて登り、大量の雪が残る山々の景色を眺められます。でも安定した雪を見極めるのは簡単ではありません。

吾妻連峰

福島・山形県境の吾妻連峰は2000m級の山々を連ねる広大な山域。磐梯吾妻スカイラインが通り、山岳観光地の様相を呈しています。基点は浄土平。東へひと登りで吾妻小富士(標高1705m)。すり鉢状の噴火口の縁を巡ることができます。西には一切経山(標高1949m)。こちらは登り1時間40分で観光というよりは登山。登山道脇に現れる小さな噴火口。その奥には蒸気も上がっていて、ここも未だに活動を続けている新しい火山です。

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さらに登ると酸(す)ヶ平が見えてきます。

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さらに登って一切経山の山頂に立ちます。北側に五色沼が姿を現します。

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雪残るゴールデンウィーク。景色を楽しんだら引き返します。

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酸ヶ平に下りて鎌沼に向かいます。

f:id:notahiro:20170412163453j:plain蓬莱山に押しやられて鎌形に残る沼。まだ融け始めたばかり。東吾妻山(標高1975m)を往復して浄土平に向かうと、もう暮れかかる時間。

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一切経山を仰ぎ見ながら車に戻ります。好天、残雪の山を一日たっぷり楽しみました。

 

今の季節の写真を10枚ずつ、テーマ毎にまとめてみました。ミニ写真展、写真歳時記ー季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね。

蒼き夜の峰にて

 もう30年以上も前の話。飛騨高山から松本に向かう県境の安房峠を越える頃には夜になっていました。…穂高が見えます。月明かりで残雪の穂高連峰が。1986年5月22日。当時はまだオフシーズンなら上高地にマイカー乗り入れが可能でした。大正池のほとりで三脚を立てます。見えるものは写る。そう教わりました。ただ少し前に夕景の撮影で失敗していました。蒼く暮れ行く空が妙に明るく写って…。オートの露出のせい。それで露出を抑えてしまって…。

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パソコンで補正してみたのですが、どうも画質は荒れてしまうようです。写真初心者でした。デジカメなどなかった時代、その場で確認はできません。その後再チャレンジもしたのです。でも同じような条件にはなってくれません。風景との出会いも一期一会。撮り直しはきかない。得たのはそんな教訓です。

 1989年5月18日、竜門避難小屋到着。夕食を済ませて準備を整えます。外に出るとすっかり夜。月が昇っています。残雪に覆われた竜門山で撮影を始めます。東北、朝日連峰は豪雪地。しっかり防寒はしています。風がないので助かります。まずは最高峰の大朝日岳(標高1870m)を狙います。6×9の中盤カメラ。手前の雪面を入れて奥行きを出します。あおりをかけ絞り込みたいのですが、それだけ露光時間が長くなります。45分と1時間半。段階露光で1カット2枚。

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月明かりの朝日岳

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月明かりの谷

朝まで撮影を続けます。1カット約2時間で、結局撮ったのは4カット8枚。35㎜カメラに高感度フィルムでも撮ってみたのですが、画質が荒くて使い物になりません。満月まではあと3日。でも雨。それも3日間。4日目は天候が回復。でも食料は尽きて下山となりました。

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月明かりの二子山

秩父の二子山(標高1166m)。雪はなかったのですが、夜になってもよく見えていたので撮ってみました。露光中に上空を横切った雲が白い筋になりました。

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月夜  湯ノ丸高原にて

残雪の夜の山はとても印象的。

でも撮影は結構面倒です。

少しずつでも撮り続けようと思っていたのですが、

結局撮れず仕舞いになっています。

空Ⅰ

山の朝はもう秋の気配

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毛無峠にて

広がる空は山の魅力のひとつ

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湧き立つ雲もやや力なく…

天高く秋の雲

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湯ノ丸高原 烏帽子岳にて

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寒気到来で山を飲み込もうとする雲

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和美峠からの夕日

強い風が浅間山上空に笠雲を作る

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湯ノ丸山にて  夕映え  夕日

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 長く山に登っています。

歳を重ねて新たに目を向けるものも増えました。

でも大きく広がる空は当初から惹かれたもの。

それは今も変わりません。

その変化は無限で

良くも悪くもいつも予想は裏切られます。

オプタテシケ山

天気はすっきりしないものの山に向かいます。

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イワブクロ

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イワヒゲ        ジムカデ

十勝連峰は花の盛りを迎えています。

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エゾコザクラ

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ミネズオウ          キバナシャクナゲ

それぞれはとても小さな花。

それらが群生し、競い合い、斜面を覆うように広がっています。

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エゾノツガザクラ

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チングルマ                   ウズラバハクサンチドリ

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展望はありません。稜線に出ると時に霧に包まれます。

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イワウメ

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ホソバイワベンケイ

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コケモモ

標高2013mのオプタテシケ山は三百名山

十勝連峰北部にあって、稜線はこの先トムラウシ山大雪山に続きます。

山頂まで来ても展望はなし。でも次々に現れるお花畑はきれいです。

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エゾツツジ

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エゾツツジ               コマクサ

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エゾヒメクワガタ          美瑛岳

下りてきて少し天候が回復。美瑛岳が現れます。

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夏でも雪が残るような山では

雪解け直後に咲く春を告げるような花から

夏の花までさまざまな花を見ることができます。