金山
翌5月17日、早朝から金山を目指します。
小谷(おたり)温泉を出発してすぐ、朝日を浴びる雨飾山を見ます。この先はまだ冬季閉鎖。しばらくアスファルトの車道を歩きます。
残雪。新緑。そしてまだ朝の斜光線。
まだ芽吹いたばかり。暖かい下界から季節は逆戻り。1時間ほどで登山口です。
登山道には雪。斜面の太いブナは雪の重みに身をくねらせ、その雪を支え続けて幾年月経つのでしょうか。斜面は傾斜を増し、雪は増えて道を隠します。アイゼンをつけて迷いながら登ります。
尾根に出て北アルプスを望みます。
夏道を見つけてもほとんど意味がありません。
随分登って東側も展望が開けます。
木々はまばらになっています。雨飾山が現れます。
そして、標高2197mの天狗原山に到着。雪も多くてかなりバテています。
さらに金山へ。標高2245m。足がヘロヘロです。
北西には海谷渓谷。雪に磨かれた険しい岩山。姫川河口。糸魚川。そして日本海が見えます。
標高1963mの雨飾山は、ここまで来ると見下ろすようになります。
北には鉾ヶ岳。標高1316m。以前登った山です。
ここは花がきれいだと教えられていたのですが、ちょっと早過ぎました。また来ましょう。何とか天狗原山まで戻れば、あとは長い下りです。苦労して登った斜面をグリセードで意外なほど楽に下ります。
途中、カタクリを撮ります。
アスファルトの車道まで来て、大の字になって休みます。
目を開けると飛び込んでくる新緑。
日は傾いて、北アルプスは霞んでいます。
朝とは違う雨飾山。
車を動かすと立派な滝が見えます。尾丸滝でしょうか。それにしても疲れました。あまり移動せず、近くで車中泊することにします。
聖高原と姫川源流
5月16日、自宅の長野県小諸市からゆっくり聖高原の樋知(ひじり)神社に向かいます。樹齢300年という杉並木の参道。社殿の奥には杉のご神木があります。
そして池。山の上なのに湧き水。雨乞いの神事が行われました。
ハウチワカエデでしょうか。木漏れ日に新緑が映えます。
距(きょ)が白いオオタチツボスミレ。
聖山に移動します。標高1447mの山頂。ほとんど車で登れてしまいます。
いい天気。景色を眺めます。この時はまだ合併寸前。坂井村、坂北村、本城村は現在筑北村になっています。
大岡の方へ下りて北アルプスを撮ります。残雪の後立山連峰です。
姫川源流に向かいます。白馬村から新潟県糸魚川市に流れる姫川。その源流は意外にも国道148号線から程近い場所です。
整備された歩道を行くとスミレサイシンが咲いています。
ヒガゲスミレ
そして、ニリンソウ…
いっぱい咲いています。
ワサビ
またオオタチツボスミレ。
近くの親海(およみ)湿原ではミツガシワが咲き始めています。
小谷(おたり)へ移動して、今日は車中泊です。
三国山と群馬の巨木
八ッ場(やんば)ダムで話題に上る吾妻川沿いは真田氏も利用した古い街道。
特別有名なものはありませんが、多くの史跡が点在しています。
長野原町の王城山神社に寄ってから王城山に向かいます。
盛りは過ぎて咲き残るカタクリ。ヤマエンゴサクがいっぱいです。
フイリヒナスミレ エイザンスミレ
花を見て、御塚(おつか)の石仏群やイタヤカエデの巨木を見たら移動します。
村主の大ケヤキ
幹回り7.2m。推定樹齢600年。月夜野の村主(すぐろ)八幡神社にて。
早朝出発。途中から雪道。三国峠を経て三国山山頂へ。
春霞。遠望は利かないものの、風はなく、穏やかな天気です。
登りも下りもちょっとうんざり。
山を下りて渋川の雙(そう)林寺へ。旧子持村。子持山の山麓です。
ムラサキサギゴケ
境内は花盛り。
ジュウニヒトエ アカネスミレ
幹周り6mの雙林寺のカヤ。移動して群馬の巨木を巡ります。
横室の大カヤ 幹周り8.1m。推定樹齢1000年。前橋にて。
萩原の大笠松 幹周り6m。推定樹齢430年。高崎にて。
連取(つなとり)の松 幹周り4m。推定樹齢300年。伊勢崎にて。
浄蔵寺の大イチョウ 幹周り12m。推定樹齢300年以上。太田にて。
’05. 4.29.~30.に巡った時のものです。もう12年も経ってしまいました。老木たちは今も元気でしょうか。今年の残雪の具合はどうでしょう。
じいとばあー御堂山
長野・群馬県境の内山峠から下仁田へ向かうと、『じいとばあ』という食堂があります。老夫婦が営む家庭的な店、…なのでしょう。でも私が注目してしまうのはその店の奥に見える山。樹林の稜線にそそり立つ岩、『じいとばあ』と名付けられた奇岩です。
ヒカゲスミレ
しばらくは林道歩き。早速すみれたちが咲いています。
マルバスミレ
エイザンスミレ
アカネスミレ
山道に変わり、木々は芽吹きの頃…
すみれ以外にはイラクサ科の…
カテンソウ
稜線に突き上げると分岐。左、じいとばあに向かいます。
アカヤシオの咲くこたつ岩を巻きます。
その先に現れる、…じいとばあ
ちょっと取り付いてみたものの、…登れそうにありません。
きのこ
芽吹いて花咲き始める…
ウリハダカエデ
途中で見たのとここで見たもの。感じは違うけど、どちらもフモトスミレか。
こたつ岩の先に御堂山を確認して分岐に戻り、山頂へ向かいます。
標高878mの御堂山。山頂からの妙義山はこんな感じ。帰りは別ルート。
シロバナエンレイソウ
キブシ
じいとばあ。こたつ。…民話の世界。きっとそんな昔話がありそうで、図書館で調べたりもしたのですが見つかりません。地元の人も知らないようで…。
紙媒体の『ひねもす通信』を17年続けています。私一人で撮影、編集したものです。その中から今の季節の記事を編集し直して掲載しています。
大霧山
昔々、ダイダラボッチが奥武蔵にやって来て休憩を取りました。笠を脱いで置いたのが笠山。蓑を脱いで置いたのが蓑山。腰を下ろしたのが定峰峠。お腹が空いてお粥を煮たのが粥新田(かゆにた)峠。食べ終えて箸を立てて置いたのが二本木峠。くしゃみをして唾が飛んで霧になった辺りが大霧山。…なんだそうですよ。
マムシグサかと思ったら…
ミミガタテンナンショウ
仏炎苞が左右に張り出しています。
たくさん咲いていても都合よくまとまっていてはくれません…
アケボノスミレ
エイザンスミレ
地味に咲くのは…
クロモジでしょうか。
植林の道
タチツボスミレ アカネスミレ
フイリヒナスミレ
咲き始めたばかり…
埼玉県ときがわ町から白石峠経由で定峰峠へ。ここで車を置いて歩きます。登り1時間40分ほど。標高767m。展望はあまりよくありませんが、霞む両神山と夕日を眺めました。 ’05. 4.21.
奥武蔵
野生のシュンランが見たくて高麗(こま)神社に来ました。埼玉県日高市。かつて朝鮮半島からの渡来人たちを入植させた土地です。高麗王が神様。はるばる海を越えてこの地に住むことになった人たちが、自分たちのご先祖様を神として祀り、ずっと守り続けてきた神社です。
シャガ
ヤマエンゴサク
初めて見るヒゴスミレ。エイザンスミレ以上に細かく葉が裂けています。でもシュンランは見つかりません。遅かったのかもしれません。
次の目的地はユガテです。飯能市に入って東吾野駅から北へ、山の方に入っていきます。車を乗り捨てて山道を歩きます。
菜の花
ノジスミレ
センボンヤリ
唐突に視界が広がります。畑と数軒の家。ユガテの集落です。湯天。これでユガテと読むようです。
山の上の集落は桜満開。季節が戻ったようです。
ヴィオラ・ソロリア
丈夫な外来のすみれは雑草と競って生きる…
車に戻って高山不動尊に向かいます。道は舗装ですが細い山道。路傍に咲く花。運転しながらでもすみれが群生しているのが分かります。
マルバスミレ
エイザンスミレ
雨になりました。高山不動尊に着く頃には本降りです。傘を差して境内へ向かいます。誰もいない境内に大きなイチョウの木。樹齢は7~800年。大小の気根がたくさん垂れ下がっています。
関八州展望台へ向かいます。雨は上がったものの関東平野を眺めることはできません。でも雨に洗われた新緑がとてもきれい。ヤマザクラも咲いています。
稜線を越えて越生(おごせ)町に下りて行きます。飯能市の高麗川流域から越辺(おっぺ)川流域へ。龍穏寺へ向かいます。目的のモミの巨木は立ち枯れています。樹齢500年。枯れてから何年か経っているのでしょうか。やや傾いた太い棒杭のようで…。結局写真は撮りませんでした。
龍穏寺
夕方の雨上がりの人気のない境内。散り敷く桜の花びら…
『ひねもす通信』を17年続けています。自分の撮った写真で記事を書いて、紙媒体で読んでもらっているのです。これは12年前のちょうど今頃(’05. 4.18.)の記事を再編集したものです。最後の写真1枚を大きく載せたので、ほかの写真は不採用となってしまいました。
今の季節の写真を10枚ずつ、テーマ毎にまとめてみました。ミニ写真展。写真歳時記ー季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね。