ひねもす通信Ⅱ

季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね

西岳

10月10日、まだ明け切らない樹林の道を行きます。登山口は分かりにくかったのですが、しっかりした道です。楠川を渡り、急斜面をわずかに登ると広々とした尾根、天狗原に出ます…

f:id:notahiro:20201007113053j:plain木が刈り払われた草原が数面。放棄された開墾地でしょうか。朝日が西岳を照らします…

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再び樹林帯に入り、緩やかに登って行きます。左手で物音。…クマ?遠ざかる音に安心しつつ、大声を出します。遅いよ!自分で突っ込みを入れます。時々奇声を発しながら進みます。「ほーい!」 …ん?後ろの方で何か気配が…。登山者です。うわっ、恥ずかしい。しばらく行って休んでいると、若いガイドのような男性のあとに続いて3人のおばさん。この長く危険な難コースを行くのか…

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登り詰めると無念の峰。岩場の上に出てしまいます。ここで諦めて引き返したということでしょうか。ルートは岩につけられた鎖にぶら下がって2mほどトラバース。梯子に乗り移って10mほど下降。わざと難しくルート工作しているようにも見えます。難所は続きます。鎖につかまり、笹につかまって登ります。普段は邪魔にしている笹に助けられます。笹に引っ張り上げてもらっているような気にもなります…

ふと我に返れば、とんでもない場所にいる自分に気がつきます。屏風のような岩山の途中にぽつんとひとり…。そして見上げる稜線に人影。先行者には追いつけそうにありません…

ひと登りで稜線。その稜線を辿って西岳へ。標高2053m。潅木があって思ったほどの展望ではありません。もうひとつのピーク、標高2030mの本院岳へ向かいます。こちらも似たようなものです。このあたりが戸隠山に主役を奪われた理由でしょうか。展望がないわけではありません。岩場や途中の稜線からは素晴らしい展望でした…

本院岳から八方睨へ向かいます。でも八方睨に着く頃はバテバテです。乙妻山往復に匹敵するハードなコースですが、荷物は軽くしての日帰りです。早立ちだったので、まだ時間は余裕があります。でも誰もいません…

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標高1900mの八方睨。展望のいい場所で、高妻山がよく見えます。標高1904mの戸隠山はもう少し先。ここから戸隠神社奥社に下ります。すぐ蟻ノ戸渡り。両側の切れ落ちた岩場を渡る場所ですが、今日は足がガクガク。少し下を初めて巻きます。もう上は歩けないのか。今日はよく歩いたし…。言い訳でも見栄でも、今日は良しとしましょう。賑わう奥社に下りて、登山口の鏡池に戻ります…

2008年の撮影です。高妻山日本百名山戸隠山は二百名山。でも西岳は三百名山にも入っていません。戸隠山の西にあって、戸隠山より高い山。ずっと気になっていたのですが、かなりの難路のようで、なかなか登れずにいました。そして心を決め、この登山となりました。とても印象深い山行となりました…