ひねもす通信Ⅱ

季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね

越百山 こすもやま

11月23日、伊那側から越百山に向かいます。出発は午後から。落石があって登山口まで車が入れません。余計な林道歩き。登山道は笹が被って長い藪漕ぎ。その先は深い谷の沢沿いの道。そして徐々に積雪が多くなります。鎖に頼って乙女の滝を渡ります…

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さらに進むと相生の滝。もう暮れてきています。道はさらに分かりにくくなって、そろそろ幕営地を決めなければなりません。あまり河原に張りたくはないのですが、山が迫っていてほかに平坦地を見つけられません。雪を踏み固めてテントを張ります。細い沢ですが、水量の多い急流。うるさいほどです。寝ていると、岩のぶつかる音。天気はいいので増水の心配はありません。でも沢は落石の集まる場所。音はたぶん急流が岩を転がしているだけ。落石の可能性は低い。でもいい気はしません…

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翌朝、狭い谷から明け行く南アルプスを見ます。暗い内に出発したかったのですが、雪で道が分かりません。明るくなるのを待って軽装で出かけます。この年は暖かくて晴れが続かず、雨が多かった。その雨が山では雪。思っていた以上の積雪。こうなると沢ルートというのもいただけない。道は左の支沢から巨岩に取り付きます。桟橋のような梯子がつづら折れのように続きます。燕の巣でも取りに行くのか。ビビリそうになるのを冗談に替えて、相手もいないのに虚勢を張ります。カモシカ落としを通過。岩を回り込むと飛竜の滝。仙涯沢にかかります。雪が深くなります。ならせばたぶん膝下。でも急傾斜で膝上状態が続きます。ペースが落ち、5分の距離を2~30分かけて歩くペース。気持ちを切り替え、焦らず、ゆっくり…。見えている場所まで行く。その繰り返し…

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やがて稜線。そして越百山。標高2613m。中央アルプスの三百名山。南に連なる稜線。その右奥には恵那山…

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北には目指していた南駒ヶ岳。でももうすぐ1時。ちょっと厳しい時間です…

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東側には伊那谷南アルプス。でも薄雲が広がり、天気は下り坂…

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下りることにします。飛竜の滝を撮り、慎重にカモシカ落としを通過。幕営地に戻ります。4時。急いで撤収。車に戻り、家に帰ります…

2009年の撮影です。二百名山の南駒ヶ岳を目指して山に入ったのですが、断念して下りてきました。初めてのルート。越百山も初登頂でした…