ひねもす通信Ⅱ

季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね

雪野山

1月24日、滋賀県竜王町新羅王、天日槍(あめのひぼこ)を祀る鏡神社へ…

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須恵、弓削(ゆげ)、薬師(くすじ)、綾戸…。渡来文化につながる地名。古代に渡来人が住んだ土地。鏡も先進渡来文化の象徴です。鞍馬から奥州に向かう源義経元服した場所もあります…

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岩屋不動尊は露わになった前方後円墳の石室の奥壁に不動明王を刻んで、入り口には鳥居が建っています。お墓で神社で仏教施設。これが世界標準とは異質な、でも敬虔な日本の宗教観、…でしょうか…

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勝手神社…

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杉之木神社…

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苗村(なむら)神社。歴史ある神社は朝からどこも掃き清められていて、燈明が絶えないようです。日本は仏教国ではなく、敬虔な神道の国?

風邪が治りきっていません。神社などを巡り、少し疲れたので休もうかと思ったのですが、あまりにいい天気です。雪野山ハイキングコースを歩いてみます。標高309mの里山です。靴だけ履き替えて、カメラだけ持って、散歩気分で歩き始めます。

登り口に天神社。お参りをして右手に回ります。天神山古墳群。斜面に小さな円墳が見えています。一つ目は危険。立ち入り禁止。二つ目は何も書いていません。腰を屈めて羨道を行きます。真っ暗ですが、広くなったようです。石室。真っ直ぐ立っても頭がつかえません。目が慣れてきて…、意外に広い空間です。

3群に15の古墳。6世紀後半から7世紀初頭のもの。古墳時代後半は前方後円墳は姿を消して小型の円墳が多くなります。そして横穴式の石室。この時代の典型的なものといえそうです。

戻って神社の左手に回り山道にかかります。害獣除けネットが張り巡らされていて、扉は各自の責任で開け閉めします。扉を抜け緩やかに登って行きます。第一展望台、第二展望台。眼下に竜王町の田園風景が広がり、琵琶湖も見えます。コートを脱ぎ、セーターを脱ぎます…

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春のような日和。滞っていた血液が活発に体を巡りだしたような感覚。車の音も街の喧騒も聞こえてくるのに、山の空気に包まれたようです。爽快。不調は消え失せています。

体を休めるばかりが体を大切にすることではない。分かっていたつもりなのに対応を間違えていたようです。これで長旅の不安がひとつ消えたようです。

山頂は前方後円墳になっています。全長70m、4世紀前半のもの。銅鏡、武器類など出土品も多数あるようです。雪野山一帯には4~7世紀にかけての古墳が200基以上あるといいます。

稜線を辿ると大岩。東側の展望が広がります。雪の伊吹山鈴鹿山脈。その向こうは東国。古代人の感覚に浸ってみます…

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雪野山を下りて行くとシダが群生しています。あまり見ないシダ。そしてこの時季に青々しているのも、私には珍しく見えます…

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日吉神社に寄り、旅を続けます…

2010年の撮影です。

 あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

有名な額田王の歌。この歌の舞台ともいわれる雪野山の麓の蒲生野。歴史を感じさせる場所がそこここにあります…