ひねもす通信Ⅱ

季樹歳彩(きぎさいさい)も見てね

栗沢山

3月22日、戸台から北沢峠を経て仙水小屋へ。翌日は荒天、停滞…

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3月24日、風はあるものの青空。樹氷の山を見て出発…

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仙水峠は風が通って積雪は少なめ。摩利支天が聳える…

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栗沢山に取り付く。ラッセル。背後に甲斐駒ケ岳。右が摩利支天…

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少しずつ高度を上げると甲斐駒ケ岳がよく見えるようになる…

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摩利支天の岩壁を雪が滑り落ちる…

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深い雪を掻いて栗沢山へ。なかなか登れず急斜面でもがいていたら、目の前の雪が盛り上がり、のしかかってきます。とっさの抵抗も空しく、真後ろに1回転。雪崩というほどの規模ではありませんが、その力は抗い難いものです。吹き飛んだサングラスを苦労して見つけ、これで体も物も損害なし。登り続けます…

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やっとのことで栗沢山へ。標高2714m。改めて甲斐駒ヶ岳を眺めます…

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樹氷を撮り…

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北岳の雄姿を眺めます。そして幕営

ビリビリッ。夜、嫌な音を聞きます。ツェルト(簡易テント)の破れる音。風下側のポールが倒れてツェルトが吹流し状態。稜線から一段下りて風を避けたつもりだったのですが…。風が強くて建て直しも移動も困難。空間は確保されているので、明るくなるのを待ちます…

朝、状況は変わりません。火を使うのは無理。朝食は諦め荷物をまとめます。意を決して外へ。ツェルトを無理やりザックに押し込み、栗沢山に向かいます。雪は大したことないものの、強い風。それが恐ろしく冷たい。わずか数百メートルの山頂までが遠い。風下側の斜面を下りたくなります。それをすれば確実に遭難。何とか山頂を越え、一気に仙水峠へ。深い雪に亀裂が走り、音もなく谷に消えます。迂回して峠へ。風は随分弱くなっています。仙水小屋に入り、食事。荷物を整理し直して下山します…

数日後、風にさらされた左の頬が紫黒く変色。軽い凍傷。でも、ひと皮剥けただけで済みました…

1994年の撮影です。冬の仙丈岳を狙うつもりだったのですが、結局撮れませんでした。もう25年も前の話。今となれば人事のよう。いろんな意味でよくやる、…というところか…